金属を切削加工する時や、金型を利用して金属板をプレス加工する時、鋳造をする時などは、機械油を使用します。機械油が金属表面に付着していますと、後工程で鍍金や塗装などの表面処理をする場合に処理不良となりますので、事前に金属表面に付着した機械油を金属表面より除去しなければなりません。
除去方法は、高圧洗浄や超音波洗浄、浸漬洗浄などがあります。また、洗浄のための液も炭化水素系や水系、準水系などがあります。
一般的には、超音波洗浄や高圧シャワー洗浄で一時洗浄をします。この洗浄に用いられる液体は、アルカリ性の洗浄水が多くなります。アルカリ洗浄水はPHが11程度となり、アルカリ洗浄水のアルカリ成分により、金属表面に付着している機械油を除去し、アルカリ洗浄水へ移動させます。
ただ、アルカリ洗浄水中に移動した機械油は、アルカリ洗浄水中のアルカリ成分により、アルカリ洗浄水中に乳化(エマルジョン)状態に分散していき、そのままではアルカリ洗浄水から除去し、アルカリ洗浄水を再生することは困難となります。
実験では、金属洗浄に用いられるアルカリ洗浄水を使用し、機械油を乳化(エマルジョン)状態に分散させた液を試験液とし、ゼータマックス吸着ファイバーで、乳化(エマルジョン)状態の機械油を吸着除去することができるかの実験を行います。
水道水に市販のアルカリ洗浄液原液を混入させてPHが11の液を調整し、そこに機械油を混入させ超音波装置で乳化させた液体を、乳化(エマルジョン)状態の機械油を含んだアルカリ洗浄水として試験液とします。
ゼータマックス吸着ファイバーは、図1のようにカラムに充填させ、乳化(エマルジョン)状態の機械油を含んだ試験液をシリンジに吸入し、その液体を通液濾過させます。ゼータマックス吸着ファイバーに油が吸着されている場合は、試験液は機械油が含まれていない透明な水となります。アルカリ洗浄水が透明になれば、液の再生が可能で、再生した液は再利用できる可能性があります。
試験結果は下記図2の通り、処理前の液体は水道水にエマルジョン状態の機械油が分散している状態となり、液は白濁している状態でしたが、空カラムに充填したゼータマックス吸着ファイバーで処理をしたろ過液は、透明色になり白濁成分であります機械油が吸着除去された状態です。乳化(エマルジョン)状態の機械油がゼータマックス吸着ファイバーに吸着・ろ過されたことがわかります。洗浄水に利用した場合、アルカリ洗浄水の再生ができ、再生した洗浄水は再利用することが可能であるかもしれません。
ろ過液の油分濃度は、5mg/L以下となりました。