極圧剤とは、極圧添加剤とも呼ばれ、プレス加工油や機械油などに添加されている成分になります。
プレス加工油は、プレス加工に用いられる機械油になります。プレス加工は金属でできた型の間に金属板を挟み込み、圧力をかけて金属板を変形させて成形していきます。
プレス加工時には、金型と金属板との間には大きな力がかかり、機械油を塗布しない場合は、プレス時の大きな力により、金属板や金型を破損する場合があります。
機械油を塗布した状態でプレス加工をしますと、油が金型と金属板の間に入り、摩擦や抵抗を抑えて破損・損傷を防ぎます。しかし、一般的な機械油(潤滑油)は、高荷重がかかりますと、金属表面に形成した油膜が無くなり、金型と金属板が直接接触し損傷する可能性があります。極圧剤・極圧添加剤を含んだ機械油(潤滑油)を使用しますと、金属表面への油膜形成が強くなり、高荷重のプレス加工を行った場合でも油膜形成をし、金型・金属板の損傷を防止できます。
極圧添加剤は、プレス加工後に塗装やメッキ工程がある場合は、機械油とともに金属表面より除去されなければなりません。方法は、シャワー洗浄や超音波洗浄、アルカリ洗浄などが用いられれます。
この時の洗浄水(洗浄液)中に分散する極圧添加剤を除去できれば、洗浄水の再利用の可能性がひろがります。
実験では、ゼータマックス吸着ファイバーが、水に乳化状態で分散した極圧添加剤を吸着できるかの実験を行います。
水道水に市販の極圧添加剤を混入させ、撹拌機で乳化させた液体を、極圧添加剤を含んだ試験液とします。
ゼータマックス吸着ファイバーは、図1のようにカラムに充填させ、極圧添加剤(機械油)を含んだ試験液をシリンジに吸入し、その液体を通液濾過させます。ゼータマックス吸着ファイバーに極圧添加剤が吸着されている場合は、試験液は極圧添加剤が含まれていない透明な水となります。
試験結果は下記図2の通り、処理前の液体は水道水に極圧添加剤(機械油)が分散している状態となり、液は白濁している状態でしたが、空カラムに充填したゼータマックス吸着ファイバーで処理をしたろ過液は、透明色になり白濁成分であります極圧添加剤が吸着除去された状態です。極圧添加剤(機械油)がゼータマックス吸着ファイバーに吸着・ろ過されたことがわかります。
ろ過液の油分濃度は、5mg/L以下となりました。