純水とは、JISで定義が定められている液体ではありません、一般的には導電率が0.0548μs/cm(25℃時)の水が理論純水と言われます。この理論純水の状態は、液中にH⁺とOH⁻のイオンがかいり状態で存在している状態です。
純水とは定義が無いと言いましたが、きれいな水を使用される業界により、純水の考え方は様々です。例えば半導体製造業では、水道水を処理をし0.055μs/cm以下の純水を超純水と呼び利用をします。放電加工をしている業界では水道水を処理をし、数μs/cm以下の導電率の水でも純水といいます。このように、使用される業種により純水の考え方が異なります。
ちなみにJISではJIS K0557「用水・排水の試験に用いる水」として、A1~A4の種別が設定されています。A1は、器具類の洗浄などで用いられる純水(水)として、導電率5μs/cm以下となっています。A2は、一般の化学分析などで用いられる純水(水)として、導電率1μs/cm以下となっています。A3は、試薬の調整などで用いられる純水(水)として、導電率1μs/cm以下となっています。A4は、有機物の試験、微量成分の化学分析などで用いられる純水(水)として、導電率1μs/cm以下となっています。
A1~A4は、その他全有機体炭素・亜鉛・シリカ・塩化物イオン・硫酸イオンなどの水質項目がございます。
「純な水」と言っても、様々な考え方がありますので、使用される現場に適した純水を選ぶことが一番大事であります。
純水を生成する方法は、さまざまな生成方法があります。
●イオン交換樹脂を使用した純水フィルター●
この方法は、強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂をカラムに充填し純水フィルターとして使用し、その純水フィルターへ対象液を通水し純水をえる方法です。純水フィルターは、電気や他の動力を必要としませんので、たいへんコンパクトに使用できます。また、純水フィルターは樹脂混合タイプを使用することにより、高純度な純水を得ることが出来ます。処理された液体の純度は0.1μs/cm以下となります。純水フィルター処理により得られる液体の純度は、イオン交換樹脂の真球度やイオン交換当量により違います。
●蒸留による方法●
この方法は、純水フィルターのようなイオン交換樹脂を使用せずに、水を熱して気化させ気化した水を冷やして高純度な純水を得る方法になります。古くから高純度な純水を得るのに使用されている方法です。得られる純水の純度は0.2~1μs/cm程度となり、イオン交換樹脂を使用した純水フィルターに比べると純度は落ちますが、純水フィルターより有機物や細菌、微粒子を減少させることができ、イオン交換樹脂を使用した純水フィルターにはない特長があります。
●逆浸透膜による方法●
これは、ポリアミド系複合フィルターを用いて、水道水から純水を得る方法です。100μs/cm程度の水道水を処理しますと、数μs/cmの水(純水という人もいます)が得られます。特徴としましては、蒸留法やイオン交換樹脂を使用した純水フィルターに比べて、ろ過水の有機物や微粒子量を大幅に減少させることができます。導電率の純度は数μs/cmでも良いとされる加湿の場合は、純水フィルターや蒸留装置を使わずに逆浸透膜装置で対応する場合があります。
●上記装置を複合使用した装置●
イオン交換樹脂を使用した純水フィルター、蒸留装置、逆浸透膜装置などは、一長一短があります。導電率を低くして、微粒子や有機物を抑えたいという場合は、上記装置や純水フィルターを複合的に使用します。
導電率を低くし有機物を低くしたい場合は、逆浸透膜装置と純水フィルターを利用します。この場合導電率0.7μs/cm以下、TOC100PPb以下の水を容易に得ることができます。また、その後、再度純水フィルターやUV装置などを使用しますと、さらに高純度な水を作り出すことができます。
当社純水フィルター「PCF」タイプは、全長が250mm・508mmと、外径が2種類有り、合計4種類の純水フィルターがあります。
純水フィルターは、上記でも述べました通り、動力や電源、電磁弁などを使用しませんのでコストを抑え、コンパクトな処理が可能であります。
当社純水フィルターPCF-1-1-MBの試験結果です。
試験は、当社純水フィルターであるPCF-1-10-MBと、他社製の同形状の純水フィルターを使用して、食塩水を用いた通液試験をしました。流量は0.5L/分として、処理液の比抵抗を随時計測します。横軸が各純水フィルターの総通水量(L)で、縦軸が各純水フィルター処理液の水質となります。
各純水フィルターを通水処理をした結果は、グラフの通りとなります。
A社純水フィルターは、一向に純度が上がりませんでした。B社純水フィルターは一旦は16MΩ・cmぐらいまで純度が上がりましたが、すぐに純度が低下しました。当社純水フィルター(PCF-1-10-MB)は、長期間効率的な使用ができました。
ちなみにこの3種の純水フィルターの市場価格は、ほぼ同じであります。価格が同一の純水フィルターとなりますので、パフォーマンスが良い順は 当社純水フィルター>B社純水フィルター>A社純水フィルターの順になります。
同じ純水フィルターといっても性能には違いがあります。したがいまして、純水フィルターを使用する場合は、あらかじめ試験をして、純水フィルターの性能の判断が必要となります。
当社では、現在、お客様でご使用されている純水フィルターを無料で試験をさせていただいております。下記のようなグラフにて結果を返信させていただいております。(詳しくは、お問合せください)
当社純水フィルターは下記型番表の通り4種類ございます。
上記「純水フィルターの試験」で使用ましたPCF-1-10-MBは、最小の純水フィルターとなり処理流量は0.2~0.7L/分となります。この他に処理流量が異なる3種類の純水フィルターがあります。
使用方法は、一般的なDOEタイプのフィルターとなりますので、心棒無しのフィルターハウジングに装填して純水処理用として使用していただけます。
水道水を原水とした場合は、純水フィルターで濾過処理後の比抵抗は10MΩ・cm以上にすることができます。
左より
・純水フィルター PCF-1-20-MB
・純水フィルター PCF-1-10-MB
・純水フィルター PCF-1-10-MB-B
・純水フィルター PCF-1-20-MB-B(横たわっている物)